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九戌ミューラー
◆FSA7/2MRM2
:2007/04/15(日)09:02:45.87 ID:oCgpQjRs0
「会長。」ようかんは眼に涙を浮べて言った。「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君が若(も)し私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」
会長は、すべてを察した様子で首肯(うなず)き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬をバットで殴った。殴ってから優しく微笑(ほほえ)み、
「ようかん、もう一度殴らせろ。同じくらい音高くようかんの頬を。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらとようかんを信じかけた。生れて、はじめてようかんを信じかけた。私が君を殴らなければ、私は君と抱擁できない。」
会長は腕に唸(うな)りをつけてようかんの頬を釘バット殴った。
「ありがとう、友よ。」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
群衆の中からも、歔欷(きょき)の声が聞えた。文治は、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「おまえらの望みは叶(かな)ったぞ。おまえらは、俺の心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
二人は先程より更に力を込め文治を何度も殴った。
どっとメンバーの間に、歓声が起った。
「万歳、ようかん万歳。」
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0ch BBS 2005-04-29